ライター貸したら童貞卒業できた話

『ライター貸したら童貞卒業できた話』、これサクッと読めてかなり良かった。出会いはパチ屋の喫煙所でライターを貸しただけなのに、彼女の“クセ強”な感じに主人公のペースがどんどん崩れていくのがまず楽しい。翌日には「どっちがたくさん出すか勝負する？」の無茶振り、負けたら“なんでも言うこと聞いてもらう”の流れから、なぜか牛丼→ホテルへ、という脱線が最高にこの二人らしい。

主人公の情けなさと素直さ、彼女の面倒見の良さと気まぐれが噛み合って、ただのラッキースケベじゃなく“距離が近づく瞬間”として読めるのがポイント。会話のテンポが軽快でツッコミも冴えてるから、盛り上がりまでのステップが自然に上がっていく。パチ屋の空気感—煙、蛍光灯、台の音—もきちんと画面に乗っていて、現実の延長にいる二人を覗いている感じが心地いい。

作画は安定。黒髪お姉さんの色っぽさ、煙のトーン、視線を誘うコマ運びが気持ちよく、見せ場での体のラインも丁寧。短編だけど満足度は高めで、「等身大の男女がちょっとした縁で転がっていく話」が好きなら刺さるはず。友だちにも勧めやすい一作。