【感想レビュー】
『立ちんぼ詐欺で1億稼いだ女 俺が最終回をプレゼントしてやった』は、タイトルから想像できる通り“復讐”と“快楽”が紙一重で交錯する異色のエロドラマだ。
序盤の“歌舞伎町の夜”の描写があまりにリアルで、単なる官能漫画の域を超えて「現代社会の裏側の縮図」としての重みを持っている。ストラボ作品らしいコントラストの強いライティングと、キャラの艶っぽい肉感表現が完璧に噛み合っている。
黒咲リナのギャル的な強気キャラは、ただの悪女では終わらない。彼女の一挙手一投足には“虚勢”と“脆さ”が同居しており、後半で見せる表情の崩壊は実に見応えがある。
同時に、桐生ナツメの“冷ややかな目線”と“無表情の色気”が対照的で、二人の悪女コンビの存在感が物語のテンポを支配していく。
ストラボはこの手の「モノローグ+構図の間」での感情操作が非常に巧く、特に中盤の“目線での支配”の演出は鳥肌モノだ。
男側の主人公もまた“単なる被害者”に留まらず、復讐の鬼と化していく過程で妙な快感を滲ませる。
読者は、彼の視点を通して“支配と被支配”の入れ替わりを疑似体験させられる。
この心理的転倒こそ、ストラボが描く「肉体×感情のカタルシス」であり、エロスの根底にある暴力性を浮き彫りにしている。
また、全ページフルカラー66Pというボリュームも圧巻。光沢感のある肌の塗り、街灯やネオンの反射が生々しく、画面の湿度が高い。
ラストに向かうにつれ、復讐劇の“カタルシス”が性的興奮と重なって爆発する構成で、まさに「最終回をプレゼントしてやった」というタイトルの意味が、読後にズシンと胸に残る。
派手なエロさの裏に潜む「人間の業」の描き方が絶妙で、単なるエロ漫画としてではなく、“一種の犯罪劇”としても完成度が高い。

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